獅子頭
高麗狗(こまいぬ)型の獅子頭で、高さが30.5センチ、幅35.5センチ、奥行38センチ。桧(ひのき)材で、頭部と下顎部よりなり、別材の舌が付く。丸いほぞ穴に耳を差し、鼻先は別材を寄せ、眉と唇上に束ねた毛が残る。全体は黒漆塗り、耳内側・目の周囲・鼻孔・唇・内側は朱漆塗り。特徴的なのは頭上についた耳が、垂れずに、ピンと立っていることである。頭部内側に「従五位下豊高」の刻銘がある(「豊高」の名は大湊神社神主松村家々系譜にその名がみられる)。
桃山時代の作と伝えられている一方、その漆の状態から室町時代とも云われるが、明確ではない。
例年3月20・21日(元は2月20・21日)に行われるお獅子祭(神幸祭)で、古くからの風習として、この獅子頭が神輿の上に乗せられ巡行していた。
普通、獅子頭は神楽を舞う際に使用されるのだが、この獅子頭は重量もかなりあり、舞いではなく神輿に乗せ巡行するために作られたものと考えられる。
昭和51年(1977)7月27日、三国町の文化財に指定され、町村合併により現在は坂井市の文化財となる。
※ 「高麗伝来御獅子略縁起」と石川県の島村