春日神社の御神像

男神像坐像 

【町指定文化財(昭和46年9月1日)】(町村合併により現在は坂井市)
桧材の寄木造りで、鎌倉時代につくられたと思われる中国の道教貴人の道服形の神像で、「十王」像。
正面に「王」の字を彫出した十王像独特の冠をつけ、道服をまとい安座します。
この像のつくられた所依の経典儀軌は十王経(地蔵菩薩発心因縁十王経)で、その経に説かれている10人の王中の一人が神像として祀られたのです。
普通道服形の神像の場合は、中国の道教と仏教が習合して生まれた像でありますが、春日神社のこの像の場合は道服形でありながら、胸部より下半身が、我が国の古代貴人の姿に彫出されている神像と同じ姿(…巾子(こじ)をつけ、立襟の袍をまとい、両手を腹前に拱手し安座…)で、神道と習合している姿とも言えます。いわばこの神像は「神道」・「仏教」・「道教」の三つが習合した珍しい神像です。

女神像坐像 

【町指定文化財(昭和46年9月1日)】(町村合併により現在は坂井市)
桧材の寄木造りで、頭部に二髻(にけい・ふたつもとどり)を蝶形に結い、天冠台をいただき、垂髪を肩部の地付まで垂れて、右袵(うじん)の衣を着け、胸部の袖内に両手を拱手し安座します。頭、躰の躯幹部は一材より彫出し、両肩は袖を含み地付きまでを矧(はぎ)付けます。
天冠台を中心とする頭部の彫出は仏像に通じ、襟、肩まわりの文様の彫出は中国風であり、胸前の袖内に拱手し安座する姿勢は、神像風で、こちらも「神道」・「仏教」・「道教」の三つが習合した神像といえます。像高56センチ・袖張53センチ。前記の十王像と同一年代・同一作者の像と見られます。

男神像坐像 

【町指定文化財(昭和46年9月1日)】(町村合併により現在は坂井市)
桧材の寄木造りで、巾子(こじ)冠をつけ、立襟の袍をまとい、両手を腹前に拱手し安座する通形の男神像です。
頭、躰の躯幹部は一材より彫出し、左右の両肩は袖を含み、地付までと、膝部の横一材を矧(はぎ)付けます。
面貌をはじめ像容は写実性に基調をおいて、森厳な趣に表出されているもので、平安末から中世の初期にかけてよくなされている手法により彫成された像で、女神像同様、同一年代・同一作者の像と見られます。像高68センチ。