雄島の野鳥
寒い冬を越えて、三月になり暖かくなりだすと、初秋の頃まで雄島橋にイワツバメがやって来ます。黒い体に白い帯を巻いたような体色のイワツバメが、赤い雄島橋を飛び交う姿は、或る種、雄島橋の風物詩といっても過言ではないでしょう。
イワツバメだけではありません。季節によって雄島には様々な鳥が訪れます。日本海に突き出た雄島は渡り鳥にとって良い中継地点らしいのです。春秋の季節の変わり目には、ジョウビタキやオオルリ・シロハラ・ツグミ・コマドリ等をはじめ多種多様な鳥たちが立ち寄ります。
渡り鳥という訳ではないのですが、ハヤブサもタイミングによって、橋を渡って左(カミ)の方で見られます。トビやカラスも上空を舞っていたりするのですが、シルエットや羽ばたき方が違います。高い空の上から獲物を狙い、急降下をして捕らえるのですが、その速度が現在の鳥類で最速とされています。ハヤブサは時期によっていたりいなかったりするのですが、雄島の崖で子供を産んで、ギャーギャー叫んでいるのを耳にもします。
雄島の橋からは黒いウミウも良く目にします。波間に浮かんでは時折、潜水し姿を消したと思ったら、少し離れたところで浮かび上がります。夕方に雄島の崖に向かって飛んで帰る姿も見られます。
黒い鳥といえば、海岸の岩場では、黒っぽい鼠色をしたクロサギの姿もあります。黄色い足が特徴的です。
それこそあちこちで目撃するのがイソヒヨドリです。橋にとまっている姿もよく見ます。雌雄で体色が違い、メスの体色は鱗のような斑のある茶褐色ですが、オスは濃い青藍色で、お腹の部分がレンガのような赤褐色をしています。光の加減で鮮やかに発色して見えることもあります。イソヒヨドリはあまりにも良く見られるので、安島地区の方言もあり「ナベダンゴ」とか「ナベダンゴ」とか呼ばれていました。
島の裏側を歩いていると、目の前を逃げるように、ホオジロが飛んでいるのもみますし、春にはウグイスの鳴き声も耳にします。他にも島内では木を叩くキツツキ類やガーガー鳴いているカモ類も伺えたり、枚挙にいとまがない程、雄島は様々な鳥がいる場所なのです。