八雲神社の本殿


 本殿は一間社流造で、正面に軒唐破風がつき、素木のままや豊富な彫刻などが見られます。精巧で繊細な彫刻で、向拝柱に巻き付く龍や、軒唐破風の鳳凰、梁の両端に彫られた絵様が彫られていて、虹梁上の力士像も珍しいものだそうです。
 本殿の棟札に「慶応元乙丑歳九月吉祥日」(1865年9月)とある所から、江戸末期に造られていると分かります。
 また棟札には「当国志比之庄玄源左衛門藤原師延、嫡子師影」とありますから、棟梁は越前志比庄の藤原師延とその息子の師影です。師延が冠しています「玄源左衛門」とは、鎌倉時代に中国から渡来したと伝わる工匠で、永平寺大工の始祖です。師延はその永平寺大工の流れをひく大工だと思われます。
 柱や板壁、縁などは欅(けやき)材ですが、柱より上方は桧(ひのき)材が使われています。屋根の上に乗っています黒塗りの鬼瓦は古そうですが、今の屋根には合わないと思われ、創建後今日までの間に大きな改修があった筈ですが、地区には何も伝わっておりません。(明治40年頃か?)